揚げ出し豆腐
片栗粉をまとわせて揚げた豆腐は、温かいつゆを張った瞬間から表面がつゆを吸い始めます。縁がとろりと柔らかくなっても、中央はまだカリッとしています。その差が続くのは短い間で、揚げたらすぐ器に盛って出します。
片栗粉をまとわせて揚げた豆腐は、温かいつゆを張った瞬間から表面がつゆを吸い始めます。縁がとろりと柔らかくなっても、中央はまだカリッとしています。その差が続くのは短い間で、揚げたらすぐ器に盛って出します。
豊川稲荷の門前町が発祥地の一つに挙げられ、名古屋風はご飯をたっぷり詰めて口を開けたままにすることもあります。甘辛く煮た油揚げは温かいまま詰めると酢飯が煮汁を吸いすぎて重くなるため、しっかり冷ましてから使います。
ぼたんは牡丹のことで、薄切りの猪肉を皿に花びらのように丸く並べることから付いた名前です。赤味噌と白味噌を合わせた汁で肉とごぼう、里芋を煮て食べ、山椒は鍋には入れずにそれぞれの器に振ります。
午前10時と午後3時の小休止に、小麦粉の料理が根付く群馬の農家の人たちが手でつまんで食べてきたのが、ねぎと桜えび入りの厚い生地を焼くじりやきです。かつては囲炉裏の灰の余熱でじっくり焼き、じりじりと焼ける音が名前の由来といわれます。
薄切りのきゅうり、なす、れんこん、にんじんに、きくらげの弾力としそ、生姜の香りが加わり、ひと口ごとに食感が変わります。硬いれんこんとにんじんは短くゆで、柔らかくなりやすいきゅうりとなすは塩でもむというように、野菜ごとに下ごしらえが違います。赤唐辛子を入れて一度沸かした甘酢は室温まで冷まして使い、温かいうちに野菜を入れるときゅうりとれんこんのシャキッとした感じが失われます。塩もみしたきゅうりとなすは、すすいだ後に手で押して水気を切っておくと甘酢が薄まりません。冷蔵庫で30分置けば、漬け汁ごと冷たい小鉢として出せます。
かつお節と昆布のだしにうどんを入れ、かまぼこ数切れとねぎをのせるだけです。つゆを塩辛くせず澄んだ味に整えることが、この一杯のほとんどすべてです。
福井県では厚揚げを最後まで切らずに一枚のまま煮含め、上面の十字の切り込みから煮汁が入っても中心は白い豆腐のまま残り、外側の味と中のあっさりした味を一口で両方感じられます。熱湯で表面の油を流してから煮るため、煮汁が油っぽくなりません。
椎茸、にんじん、ごぼうを細く切りそろえて米の上に広げ、だしに醤油とみりんを合わせた汁で炊きます。具は炊き上がるまで上にのせたままにします。重い具を米に混ぜ込むと水がうまく対流せず、芯の残る部分ができます。
そば粉の生地を手のひらで細長く転がし、どじょうのような形にして鍋に入れます。生地は溶き卵と熱湯でまとめ、耳たぶほどのやわらかさで手にべたつかない状態に仕上げます。ごぼう、にんじん、かぼちゃ、白菜、しいたけ、ちくわと一緒に煮込むぶん、すいとんより具の多い一鍋になります。
ぶりを煮すぎずに大根までやわらかくするには、大根の下ゆでが要になります。縁が半透明になるまでゆでて中心をやわらかくしておけば、ぶりを長く煮なくても大根に箸がすっと通ります。ぶりは熱湯を回しかけて表面が白くなったら水気を拭き取り、煮ている間は煮汁をかけて皮を乾かさないようにします。いちばん厚い切り身の中心が63℃以上になり、煮汁が半分ほどに煮詰まったら火を止めます。
格子に切り目を入れたなすの紫の皮が亀の甲羅に、汁に広がるごまが泥に見えることから、泥亀汁の名が付きました。滋賀県湖東の夏の汁で、すりつぶしたおかゆが汁に軽いとろみを与え、たっぷりのごまがすぐに沈むのを抑えます。
れんこん、ごぼう、にんじんを煮汁に入れる前に、鶏を炒めた脂でひと炒めするので、煮上がった野菜にも鶏の脂のこくが残ります。煮汁は鍋底に少し残る程度まで詰め、翌日に温め直して食べても構いません。
群馬のすいとんは、生地を延ばしも切りもしません。ゆるく溶いた中力粉の生地をスプーンですくい、大根、人参、里芋、しいたけ、油揚げを煮ているだしに落とすだけです。その手軽さから、米が足りない時にご飯代わりに食べる日常の料理になりました。
塩辛く酸っぱくなった前の年のたくあんも、薄く切って何度も水からゆでれば塩気と酸味が抜け、煮物の材料に変わります。福井ではこれをだしと醤油、みりんで煮て、食べられる漬物にわざわざ手をかけることから、ぜいたく煮とも呼びます。赤唐辛子と白ごまで仕上げ、ご飯や酒、お茶漬けに添えます。
大阪では、うなぎの蒲焼きを作ったあとに残る焼いた頭を半助と呼びます。熱湯をかけて余分なたれと脂を落とし、だしと醤油、砂糖、酒の煮汁に焼き豆腐と一緒に入れて煮ると、うなぎの濃いうま味が煮汁を通して豆腐にしみます。安い副産物まで使い切る商人の町の始末から生まれました。頭には小さな骨が多いので残らず引き上げ、器には豆腐と長ねぎ、こした煮汁だけを盛ります。
加賀れんこんはすりおろすと餅のような粘りが出るので、もち蓮根とも呼ばれます。金沢ではこのすりおろしを白身魚、えび、ぎんなん、百合根にかぶせて蒸し、澄んだだしのあんをかけて客膳に出します。もちっとしたれんこんの層とあんを、匙で一緒にすくって食べます。
晩夏から秋にかけて糠に二、三か月漬け込んだ大阪府泉州の水なすの古漬けを、塩抜きして下ゆでし、えびじゃこと生姜で汁気が少なくなるまで炊いたものです。じゃこは小えび、ごうこは漬物を指します。塩抜きしても漬物の塩気と発酵の香りは消しきらず、柔らかくなったなすにだしと醤油、えびのうま味が戻ります。
小松菜と絹ごし豆腐を一皿に盛って一緒に蒸し、温かいだし醤油にごま油とごまを合わせてかけます。葉がしんなりして茎が少ししなったところで取り出すと、緑が鮮やかに残ります。
へたむらさきなすは皮が薄く中のやわらかい加賀の小なすで、丸ごと長く煮ても形が崩れません。金沢では夏にこのなすに十字の切り込みを入れ、澄んだだしと薄口醤油で煮て、粗熱を取るか冷やして食べます。
巻きすで固く巻いてゆでた豆腐は、水分の層が減ってかまぼこに似た締まった口当たりになります。群馬県甘楽地域では、これをだしと醤油、砂糖で煮含めて食べます。表面に巻きすの筋が残る円筒形で、切っても崩れにくいのが特徴です。薄切りでそのまま出すほか、煮しめの具にも使います。
皮の薄い小粒の新じゃがを丸ごとじっくり揚げてしわを寄せ、だしで煮てから味噌だれを転がしながら絡めます。山梨県上野原市棡原の郷土料理で、せいだは飢饉の際にじゃがいも栽培を広めた代官中井清太夫に、たまじは小さいいもに由来します。売り物にならない小いもも無駄にしなかった暮らしから生まれ、揚げた皮の香ばしさとほくほくした中身を濃い味噌が包みます。