煮合い
最後に回し入れる酢が甘辛い根菜の煮物に酸味を重ね、れんこんにはしゃきっとした食感が残ります。茨城県水戸周辺のおかずで、煮てから和える「煮て和える」が名の由来という説があります。正月や冠婚葬祭に多めに作って翌日に食べてきた料理で、今も冷蔵庫で一晩なじませてからが食べごろです。
日本料理509品。20/22ページで材料や調理時間を比べられます。 煮合い, 肉豆腐, 肉じゃが.
最後に回し入れる酢が甘辛い根菜の煮物に酸味を重ね、れんこんにはしゃきっとした食感が残ります。茨城県水戸周辺のおかずで、煮てから和える「煮て和える」が名の由来という説があります。正月や冠婚葬祭に多めに作って翌日に食べてきた料理で、今も冷蔵庫で一晩なじませてからが食べごろです。
名前は肉が先でも鍋の主役は豆腐で、薄切り牛肉と九条ねぎが甘めの醤油の煮汁の中で脇を固めます。京都の冬の家庭料理で、葉の内側のぬめりは洗い流さず、九条ねぎは最後の2分だけ煮て甘みと香りを残します。
牛薄切り肉とじゃがいも、玉ねぎ、にんじん、しらたきを、だしと醤油、みりん、砂糖で甘辛く煮含める、日本の家庭の食卓によく上る煮物です。明治期の海軍士官がイギリスのビーフシチューを国内で手に入る材料で再現しようとしたという説があり、とろみのない醤油味の煮物になったのはそのためだとされます。
豚ひき肉に混ぜたキャベツが水分を出し、ふんわりした皮の中の具がぱさつかずしっとり仕上がります。具は生姜をきかせて醤油とごま油で味をつけ、皮には砂糖を少し入れてほんのり甘くします。
豆麹を長く熟成させた赤い豆味噌が、煮汁に濃いうま味とほのかな酸味、軽い渋みを与えます。愛知県で味噌煮とも呼ばれ、八丁味噌に代表される豆味噌の文化から生まれた日常の煮物です。大根、にんじん、ごぼう、里芋、こんにゃく、油揚げを一度にたくさん煮る点は同じでも、汁を多めに残して鍋のように食べる家もあれば、煮詰めて煮物にする家もあります。
里芋から出るでんぷんだけで、汁にほんのりとろみがつく新潟の煮物です。干し貝柱と干ししいたけの戻し汁を土台に、里芋、たけのこ、にんじん、こんにゃく、かまぼこ、ぎんなん、塩鮭を同じくらいの大きさにそろえて煮ます。正月や婚礼、法事や葬儀に大鍋で作り、温かくても冷たくても食べ、上にいくらをのせます。
塩と酢で順に締めた小いわしを開き、柚子の香る甘酢のおからを挟んで、皮側にも薄くまぶします。茨城県の料理で、おからはにんじんと赤唐辛子と一緒に炒って水分を飛ばしてあり、ほろほろした食感が酢の利いた身とよく合います。作ったその日に食べ、塩や酢ではアニサキスが死なないため、冷凍処理された生食用のいわしで作ります。
ひれと形を残したまま背から開いた約1kgの鯛に、甘く味つけしたおからを腹いっぱいに詰め、丸ごと蒸し上げます。高知県の祝い料理で、仕上げに裏ごしした固ゆで卵の黄身を散らし、大きな皿鉢に一尾のまま盛って婚礼や正月、おきゃくと呼ばれる宴席に出します。蒸し器にさつまいもを一緒に入れて蒸し上がりを見る昔のやり方も、このレシピに残しています。
米の代わりに、しょうがと甘酢で炒りつけたおからを丸めて握ります。おからは口の中でほろほろとほどけ、上を覆う酢締めのキビナゴが塩気と弾力を添えます。手ぬぐいでほおかぶりをした人に見立てた姿から名が付いたとされます。豆腐作りで残るおからで貴重な米を節約した、高知のたまずしの一種です。宿毛湾でキビナゴが多くとれた宿毛市の郷土食として受け継がれてきました。
桜えび漁を終えて沖から上がった漁師たちが、浜で囲んだ鍋が名前の由来です。静岡県由比の味で、生の桜えびのうま味が甘辛い割り下に移り、大きく切った木綿豆腐がその汁をじっくり含みます。桜えびと豆腐、ねぎを一緒にすくい、熱いうちに食べます。
丸なすの切り込みに甘味噌を詰め、小麦粉の生地で包んだ長野のおやきです。なすは蒸される間に味噌の甘じょっぱさを吸ってしっとりし、生地はもっちりと弾力が出ます。焼くだけ、蒸すだけの作り方もある中で、このレシピはフライパンで焼き色を付けてから蒸し器へ移す両方の工程を踏みます。一度に20個を包む分量です。
もち米が貴重だった北海道で、豊富なじゃがいもにもちの食感を担わせたのが始まりです。いもだんごとも呼ばれ、バターで焼くと表面は香ばしく色付き、中はもちのようにまとまった弾力が残ります。すったエゴマと白ごまに砂糖と醤油を合わせたたれで、甘じょっぱく食べます。
みずの赤い根元をたたいて包丁で刻み続けると、とろろのように糸を引きます。正式名はウワバミソウで、奥羽・北上の山あいの清流沿いに群生する山菜です。根元の赤みが濃いほど粘りが強く、みずみずしい茎のしゃきっとした歯触りとぬめりも残ります。味噌、みりん、醤油、砂糖で和えた岩手の山のおかずで、春から初夏の柔らかな茎が特に喜ばれます。冷やしてその日のうちに食べます。
そら豆をゆでずに乾いた鍋で煎ると、皮が香ばしくなり、中はかむとほろりと崩れます。熱いうちに唐辛子入りの甘い醤油だれへ落として一晩おく、香川の常備菜です。讃岐の農家が稲の裏作でそら豆を育て、普段のおかずや酒の肴に蓄えてきました。お遍路さんに出した煎り豆が醤油がめに転がり込んだのが始まりという話も残り、正月に黒豆の代わりに並べる家もあります。
子持ちの雌のアカガレイを一尾使い、身は刺身に、卵はしっかり加熱してぱらぱらにほぐします。鳥取県岩美の冬の祝いの膳に上る一皿で、ほぐした卵を刺身にまぶします。淡白で弾力のある身の表面に、濃い卵の味とさらりとした粒がうすく付きます。醤油とわさびを添え、和えたらすぐ食べ切り、残りは保存しません。
湯をかけて臭みを抜いた鯖を、皮目を上にして味噌・みりん・酒・砂糖の煮汁で照りよく煮る定番の家庭料理です。薄切りの生姜を一緒に煮て、残った生臭さを抑えます。
エリンギを1.5cmの厚さに縦に切り、とんかつと同じ手順でパン粉の衣を付けて揚げると、厚みのある噛みごたえで肉を使わないカツになります。揚げ上がりには、とんかつと同じくとんかつソースを添えます。
鹿児島では、さつま揚げのことをつけあげと呼ぶのが一般的です。すり身に水気を絞った木綿豆腐と卵を合わせるので中は柔らかく、砂糖と地酒、薄口醤油で甘めに味付けします。揚げたては惣菜や酒の肴に、冷めたものは弁当や煮物の具に回します。
鳥取県中部では、えごのりとも呼ばれる干しいぎす草を凝固剤なしでとろ火にかけ、繊維がほどけるまで練り煮して、冷えるとようかんのように切り分けられる寄せ物にします。長方形に切ってごまを振り、醤油を添えて、精進料理から正月や法事、祭りの膳まで出してきました。
大きなほたて貝殻を小鍋代わりにして、味噌だしで卵をとじます。身を加えるのではなく、殻そのものが調理器になる津軽・下北の郷土料理です。焼き干しと削り節のだしに赤みそを溶き、板麩が汁を含んだところへ溶き卵を流すと、大きく柔らかな卵のかたまりができます。ご飯に添えて食べます。
巻きすで固く巻いてゆでた豆腐は、水分の層が減ってかまぼこに似た締まった口当たりになります。群馬県甘楽地域では、これをだしと醤油、砂糖で煮含めて食べます。表面に巻きすの筋が残る円筒形で、切っても崩れにくいのが特徴です。薄切りでそのまま出すほか、煮しめの具にも使います。
鮭の頭を入れる地域型もありますが、千葉の東葛飾に伝わるすみつかれは野菜と炒り大豆、油揚げ、豆腐、酒かすで作ります。鬼おろしで粗くおろした大根が長い煮込みでほどけ、酒かすと一体になってどろりとした濃さになります。初午には小豆ごはんと一緒にお稲荷様へ供え、節分で残った炒り大豆も無駄なく使い切りました。しもつかれ、そもつかれなど、土地ごとに呼び名が変わります。
ぱりっと揚がった青じその中に、赤味噌とくるみの甘い餡が巻かれています。仙台味噌の文化から生まれた宮城の郷土の味で、伊達政宗公にちなむ説と、鳴子の湯治客のために作られたという説があります。
明治時代に清国から長崎へ伝わり、円卓を囲む卓袱料理の一品になりました。今は店頭や街中でも見かける軽食です。えびといかの半量はすり身に、残りは粗く切って、しっとりした餡の中にぷりっとした粒を混ぜます。食パンに厚く挟んだ餡は、先に蒸して火を通してから揚げます。