あいまぜ(根菜の酢入り煮物)
石川県能登で正月や祝いの日に作られてきた根菜のおかずです。打ち豆、ごぼう、油揚げを醤油味で煮て、別にゆでた大根と人参のせん切りを後から合わせて、素材ごとの食感をはっきりさせます。醤油の甘辛さに酢の酸味が重なり、煮物と和え物の間のような味になります。
石川県能登で正月や祝いの日に作られてきた根菜のおかずです。打ち豆、ごぼう、油揚げを醤油味で煮て、別にゆでた大根と人参のせん切りを後から合わせて、素材ごとの食感をはっきりさせます。醤油の甘辛さに酢の酸味が重なり、煮物と和え物の間のような味になります。
フナのミンチと根菜を、濃口と薄口の醤油で甘辛く調えただしで煮て、熱いご飯にたっぷりかけ、ねぎともみのりをのせます。児島湾の干拓地の田や水路、川、児島湖で冬のフナがよく獲れたことから生まれた岡山県南部の料理で、まな板でフナをたたく軽快な音からとんとこ汁、とんとこめしとも呼ばれました。
干したずいき(いもがら)を30分戻し、れんこん、にんじん、油揚げ、こんにゃくと油で炒めてから、甘い醤油の煮汁でふたをせずに煮ます。仕上がりは鍋底に煮汁がほとんどなく、いもがらはやわらかく噛めて、れんこんにはまだしゃきっとした歯ごたえがあります。
そば粉の生地を手のひらで細長く転がし、どじょうのような形にして鍋に入れます。生地は溶き卵と熱湯でまとめ、耳たぶほどのやわらかさで手にべたつかない状態に仕上げます。ごぼう、にんじん、かぼちゃ、白菜、しいたけ、ちくわと一緒に煮込むぶん、すいとんより具の多い一鍋になります。
香川では、どじょうの味噌汁に生うどんをそのまま入れて煮るので、汁物でありながら一杯の麺料理にもなります。鍋にはごぼう、なす、里芋、油揚げも入ります。どじょうは自分で捕ったものは使わず、許可を受けた販売店の泥抜き済み養殖品だけを使います。
から煎りして水分を飛ばしたおからに、酢で締めたいわし、塩もみのきゅうりとにんじん、甘く煮た油揚げを混ぜ、落花生と味噌の衣でまとめます。千葉県の房総の浜で受け継がれてきた郷土の味で、手でぎゅっと握って小さな俵形に仕立てます。市販のおからをそのまま入れると水分が多く、和え物がべたつきます。塩もみした野菜と酢で洗ったいわしも水気をしっかり取らないと、握った形が崩れます。香ばしいおから、いわしの塩気、甘酢味噌、ゆずの香りが一口にそろいます。
夏にゆでて干しておいたすべりひゆを冬に戻し、糸こんにゃく、にんじん、油揚げと炒めてからしょうゆ味で煮ます。雪の多い山形の村山や置賜では、冬に食べる山菜や野菜をこうして干しておきました。戻した茎はやわらかいのに、噛むと少し弾力が残ります。すべりひゆは野で摘まず、食用に作られた市販のひょう干しを使います。
千葉県館山の秋祭り、やわたんまちで神輿を担ぐ人に配られてきたおにぎりで、片手で持てるように大きく握ります。具はかつお節と甘辛く煮た豚ばら肉と油揚げです。煮汁もご飯に混ぜるため、汁気が少なくなるまで煮詰めておきます。一度に二十個できる分量です。
相撲部屋でみんなが囲んで食べた鍋に由来し、一つの鍋に鶏もも肉、鶏団子、白菜、水菜、しいたけ、絹ごし豆腐、油揚げ、くずきりがすべて入ります。汁はにんにくと生姜をすりおろして溶いた鶏だしで、煮えたものから取り分けるあいだも、残りの具は鍋の中で煮え続けます。
山梨の幅広の麺を、かぼちゃやじゃがいも、大根、白菜と一緒に味噌の汁で直接煮込むため、汁はとろりとして冷めにくくなります。米作りが難しい山間部で米の代わりの主食として食べられ、冬によく作られます。根菜を先に、白菜としいたけを後から入れ、かたい具とやわらかい具の煮え具合をそろえます。
大根、にんじん、れんこん、干ししいたけ、油揚げ、ごぼう、高野豆腐を三つに分けて別々に火を通し、最後にひとつの合わせ酢で和えます。しゃきっとしたれんこんとごぼう、やわらかい大根、だしを含んだ高野豆腐と、材料ごとに食感が違います。火を通した具はざるに広げ、煮汁が落ちなくなるまで待つと合わせ酢が薄まりません。煮含めた高野豆腐は熱いうちに強く押すと形が崩れ、含んだだしも抜けるので、ざるの上で自然に冷まします。白ごまと細く切ったゆずの皮をのせると、酢の味に香ばしさと柑橘の香りが加わります。
高野豆腐を作る過程で出る細かな粉が、だしを一気に吸ってほろほろとまとまります。兵庫県多可町の家庭の煮物で、鶏肉と根菜、こんにゃく、ちくわ、油揚げを小さくそろえるため、ひと匙にいろいろな具が入ります。
もち米に麦と一日干した栗が混ざり、鶏肉やごぼう、ふき、しいたけ、油揚げが醤油味のつやをまといます。鳥取の大山おこわが岡山県真庭市の蒜山地方に伝わって根づき、麦を混ぜるのは1972年頃の地域の主食改善運動とつながっています。正月や節句、祭り、家の行事に出されてきました。具を炒め煮した煮汁は捨てず、蒸している途中で米に打って味を含ませます。
山形県米沢の遠山かぶは、普通のかぶより硬く、甘みが強いかぶです。包丁で切らずに刃元の角で削り取るように割ると、でこぼこした面ができ、酒粕を溶いた汁がそこにしみ込みます。それでも芯まで味が入るのは、一晩冷まして翌日温め直したときです。
甘辛く煮た油揚げが澄んだだしの上で少しずつ煮汁を放ち、食べ進めるほどつゆがほんのり甘くなります。そのため、つゆは油揚げをのせる前の段階で塩辛くならないよう控えめに整えます。油揚げは煮汁が少し残ってしっとりしているうちに火を止め、前日に煮ておくと味がさらになじみます。
酒粕に漬けた奈良漬けの香りと歯ごたえが、甘辛く煮たぜんまい、かんぴょう、しいたけ、つきこんにゃくの間で生きてきます。単独では強い漬物の味も、たくさんの野菜と油揚げに分かれることでやさしくなる和え物です。奈良県の日常のおかずで、冷ましてから食卓に出します。
鍋に最初に入るのは、油大さじ8と手でくずした木綿豆腐です。豆腐がそぼろ状になったら大根、ごぼう、ぜんまい、わらび、ふきを加えてさらに炒め、そのあとでだしと薄口醤油を注ぎます。肉は使いません。
甘辛く煮た油揚げをかむと、含ませた煮汁がじゅわっとつゆに広がります。つゆは昆布と鰹節でとっただしが土台で、色は淡くても味はしっかりした関西風です。油揚げは煮汁がほとんどなくなるまで煮詰めて、甘みを中に閉じ込めます。大阪では朝の一杯としても食べられる、ごく日常のうどんです。
最後に回し入れる酢が甘辛い根菜の煮物に酸味を重ね、れんこんにはしゃきっとした食感が残ります。茨城県水戸周辺のおかずで、煮てから和える「煮て和える」が名の由来という説があります。正月や冠婚葬祭に多めに作って翌日に食べてきた料理で、今も冷蔵庫で一晩なじませてからが食べごろです。
大根、人参、ごぼう、山菜、油揚げ、凍み豆腐、大豆、昆布をすべて5mmほどに刻むと、ひと匙に何種類もの具がのります。津軽で小正月に作られてきた汁で、赤味噌で調えます。大豆は半分を粒のまま、半分を粗くつぶしてずんだにし、汁に軽いとろみを付けます。
塩を入れない幅広の麺をゆでずに、根菜の煮汁へそのまま入れて煮込みます。汁は澄まず、ほんのりとろみがついた状態に仕上がります。里芋、ごぼう、大根、しいたけ、油揚げで具だくさんになり、味付けは醤油と味噌の両方を使います。群馬の家庭の鍋で、麺の太さや野菜は家ごとに違います。
豆麹を長く熟成させた赤い豆味噌が、煮汁に濃いうま味とほのかな酸味、軽い渋みを与えます。愛知県で味噌煮とも呼ばれ、八丁味噌に代表される豆味噌の文化から生まれた日常の煮物です。大根、にんじん、ごぼう、里芋、こんにゃく、油揚げを一度にたくさん煮る点は同じでも、汁を多めに残して鍋のように食べる家もあれば、煮詰めて煮物にする家もあります。
秋田で小正月に作る汁物で、大根やじゃがいも、山芋、山菜、豆腐、栗の甘露煮まで具が多く、大鍋で一度に作ります。汁がほぼ煮えたら、青豆粉ともち粉で作って焼いた焼きずんだを入れ、さらに5分煮ます。
肉や鰹節を使わず、干ししいたけの戻し汁でだしをとり、里芋やごぼう、にんじん、豆腐、油揚げを片栗粉でゆるくとじます。宮城県南部で彼岸やお盆、法事の席に出されてきた精進の汁物です。とろみはへらに薄くつく程度で、具が沈まずに汁と一緒にすくえます。温麺を汁で直接ゆでるとでんぷんが溶け出して濁り、重くなるため、別鍋でゆでて最後に加えます。白石温麺に糸こんにゃく、豆麩も加わって汁物と麺料理のあいだのような一椀になり、三つ葉の香りで締めます。