とじこ豆
炒った大豆を、黒砂糖と三温糖で甘くした小麦粉生地にぎっしり閉じ込め、棒状にして蒸します。豆を生地に閉じ込めることが名前の由来で、とちこ豆、としこ豆とも呼ばれます。熊本県北部の山鹿や菊池では年の瀬におせちと一緒に用意し、婚礼や葬儀、農繁期のおやつや贈り物にも使われてきました。冷やし固めてから切ると、茶色い生地の間に豆がぎっしり詰まった断面が現れます。
日本料理509品。17/22ページで材料や調理時間を比べられます。 とじこ豆, 酢のしゅい, へしこ.
炒った大豆を、黒砂糖と三温糖で甘くした小麦粉生地にぎっしり閉じ込め、棒状にして蒸します。豆を生地に閉じ込めることが名前の由来で、とちこ豆、としこ豆とも呼ばれます。熊本県北部の山鹿や菊池では年の瀬におせちと一緒に用意し、婚礼や葬儀、農繁期のおやつや贈り物にも使われてきました。冷やし固めてから切ると、茶色い生地の間に豆がぎっしり詰まった断面が現れます。
粗くおろした大根と一夜干しのいわしを一緒に煮て、最後に酢を加え、湯気の立つ熱い酸味の汁に仕上げます。宮崎の言葉でしゅいは汁を意味し、冷たい酢の物とは違って、餅と一緒に温かく食べてきました。
へしこの塩気と発酵の香りはかなり強く、糠を軽く落として短く焼き、ご飯やお茶漬け、酒の肴にほんの少し添えて食べます。京都府丹後地域で、内臓を除いたさばを塩漬けにしたあと、唐辛子や酒、実山椒とともに米糠へ漬け直し、半年ほど寝かせて作る保存魚です。漁師が魚を樽へ押し込むことをへしこむと呼んだのが名の由来という説があります。ここでは家庭で発酵させず、許可を受けた製造者が熟成させた密封品を焼く工程だけを扱います。
すりおろした自然薯をすり鉢でよくすり、冷ました味噌だしで少しずつのばして、太い帯のように流れるとろろを温かいご飯にかけます。静岡市の丸子は東海道五十三次の二十番目の宿場で、旅人がここに立ち寄ってとろろ汁を食べました。自然薯は秋の半ばから冬にかけて掘られ、1月2日にとろろ汁を食べる地域もあります。
硬くほろりと崩れる白い糖衣をかむと、中から甲州ぶどうの甘酸っぱい果汁があふれます。江戸時代、甲府の菓子屋で一粒のぶどうが煮立った砂糖に落ちたのが始まりという話が山梨に伝わります。糖衣は煮詰めたシロップを白くなるまで練ったフォンダンで、ぶどうは甲州のように皮の厚い品種を使います。皮の薄い粒や傷のある粒は、温かいフォンダンの中で割れてしまいます。
卵を4〜5分かけてクリーム状に泡立て、煮立ったすまし汁に流し入れて火を止め、蓋をしておくと、泡が丸く膨らみながら固まります。江戸時代に袋井宿の朝食に出された記録があり、袋井市の観光協会が古い文献をもとに復活させました。
濡れた奉書紙の中で身が蒸されるように火が通り、余分な脂は紙が吸うため、しっとりしながら重さのない焼き上がりになります。島根県松江では腹を切らないつぼ抜きで内臓を出した宍道湖のすずきを姿のまま包んで焼き、脂がのる秋から初冬の祝いの席や宴会で、食卓で紙を開いて出します。
すりおろした山のいもを、わざと濃くした味噌汁でスプーンに絡む濃さにのばし、炊きたての熱いご飯にたっぷりかけます。秋田の県北と県南、由利本荘市で、正月三が日や祝いの翌日に食べられてきました。
米粉で蒸す他の地域の外郎よりずっと柔らかく、皿の上でかすかに揺れます。山口ではわらび粉に練りあんを溶いて蒸し、このレシピでは市販のあんで小さな型一つ分だけを作ります。蒸したてをすぐ冷蔵すると澱粉が締まって硬くなるので、室温で冷ましてその日のうちに食べます。
身を取ったあとの頭、中骨、皮、肝、白子や真子まで、鱈一尾を一つの鍋で煮て濃いだしを取ります。じゃっぱは津軽の言葉で捨てるところを意味しますが、青森の津軽ではこの部分で冬の味噌汁を作ってきました。仕上げにつぶして溶かす肝が汁にやわらかなコクを加え、新鮮な白子があればごちそう扱いです。鱈は津軽で年取り魚とされ、年の瀬に大きな鱈を丸ごと買って雪道を引いて帰る光景から、鱈正月という言葉も生まれました。
えごのりとも呼ばれる細い赤褐色の海藻いぎすを出汁で溶かし、生の大豆粉を加えて冷ますと、凝固剤なしで弾力のある豆腐状に固まります。広島の沿岸で夏に食べられてきたおかずで、四角く切った上に白味噌の甘酢っぱい酢味噌と大葉、みょうがをのせます。
うなぎは皮目から焼いて脂を落とし、醤油、みりん、酒、砂糖を煮詰めたタレを塗ってつやを出します。タレに砂糖が入っているので、二度目は弱火で塗って照りを出すだけにします。ご飯にのせたうなぎに山椒と刻みねぎを振ります。
鍋で白く濁ってとろみがついたわらび粉の生地は、混ぜ続けるうちにふっと透き通り、鍋肌から離れるようになります。そこで型に流して冷やし固め、ひと口大に切ってきな粉をまぶし、食べる直前に黒蜜をかけます。作ったその日がいちばん柔らかです。
山形の内陸では、秋に河原へ集まって大鍋を囲む芋煮会が毎年開かれます。牛肉は里芋に串がすっと通ってから入れます。最初から一緒に煮ると肉が硬くなり、アクも増えます。
麺のように見えますが、新潟県佐渡島のいごねりは海藻の板です。えご草を煮溶かしてバットに薄く固め、くるくる巻いて細く切るとほどけて麺状になり、長ねぎ、おろししょうが、レモンの皮をのせて醤油をかけます。
椀には豆腐としいたけの澄まし汁だけが見え、箸を底まで入れると隠れたご飯が出てきます。昆布と生しいたけのだしはあくを取って澄ませ、木綿豆腐は角が崩れないよう静かに煮ます。ねぎ、みかんの皮、おろし生姜、すりごまは、食べる人が好みの量を加えて香りを足します。
蒸したまんじゅうを竹串に4個ずつ刺し、甘い赤みそだれを塗って焼くと、表面は濃いつやをまとい縁に焦げの香りが付きます。群馬では江戸末期に前橋の原嶋類蔵が作ったみそ漬けまんじゅうが始まりとされ、黒蜜が入ってから今の甘いたれになりました。米こうじの元種は1〜2日発酵させ、たれも冷蔵庫で2日寝かせるので、焼く日の数日前から仕込みに入ります。
鹿児島の豚汁には、甘くやわらかな麦味噌を使います。豚肉、大根、里芋、こんにゃく、厚揚げが汁と同じくらいたっぷり入って椀をほとんど埋め、上に小ねぎと細い針しょうがをのせます。
北海道の漁家が初雪のころに漬けて冬を越した保存食で、沿岸ごとにハタハタ、ホッケ、鮭、ニシン、サンマと使う魚が違いました。塩漬けの魚を大根、にんじん、しょうがとともに飯と米麹の間に重ねて押し、乳酸発酵させます。多くのなれずしより熟成が短く、香りは穏やかです。漬け込みは家庭では行わず、許可を受けた製造者の冷蔵完成品に大根おろしとゆずの皮を添えて出します。
塩をしたおにぎりを中弱火のフライパンで片面ずつ触らずにじっくり焼き、返すたびに醤油とみりんのたれを薄く塗り重ねます。表面は薄くカリッとした皮になり、たれがたまった縁だけが少しもっちりします。根元に海苔を巻き、味噌汁とたくあんを添えます。
富山では、よもぎで緑に色づけたもち米粉の生地を平たく押して焼き、熱いうちに甘いごまみそを薄く塗ります。ごまみそは炒りごまを油が少しにじむまですってからみそと砂糖を混ぜたもので、ごまの粒が少し残ります。
鶏肉、しいたけ、里芋、ちくわ、こんにゃく、人参、焼き豆腐の七品を1.5cm角にそろえ、澄んだ醤油味の汁に浮かべます。熊本県人吉・球磨地方では、おくんちなどの行事に赤飯や煮しめと並べ、具の数を七や九の奇数にする習わしがあります。煮しめの切れ端を一椀に生かす始末の知恵から生まれた汁でもあります。豆腐は最後に入れ、角を崩さずに盛ります。
つなぎはパン粉ではなく小麦粉だけで、揚げると表面はこんがりし、中では包丁でたたいたゲソがぷりっと残ります。青森県津軽地方で刺身を引いた後のゲソや野菜の切れ端を無駄なく食べるため、戦後の食糧難の時期に生まれたと伝わり、今も市場や総菜店に日常的に並びます。
鶏もも肉と長ねぎを交互に串に刺してフライパンで焼き、醤油、みりん、砂糖のたれを薄く何度も塗り重ねて照りを出します。もも肉は脂があるため強めの火でもぱさつきません。ごはんにのせると串に残ったたれが米粒の間にしみて、追加の味付けはいりません。