けの汁
大根、人参、ごぼう、山菜、油揚げ、凍み豆腐、大豆、昆布をすべて5mmほどに刻むと、ひと匙に何種類もの具がのります。津軽で小正月に作られてきた汁で、赤味噌で調えます。大豆は半分を粒のまま、半分を粗くつぶしてずんだにし、汁に軽いとろみを付けます。
日本料理509品。12/22ページで材料や調理時間を比べられます。 けの汁, ずいきの酢漬け, 鯖そうめん.
大根、人参、ごぼう、山菜、油揚げ、凍み豆腐、大豆、昆布をすべて5mmほどに刻むと、ひと匙に何種類もの具がのります。津軽で小正月に作られてきた汁で、赤味噌で調えます。大豆は半分を粒のまま、半分を粗くつぶしてずんだにし、汁に軽いとろみを付けます。
ずいきをゆでて冷ました甘酢に漬けると、色が鮮やかになり、中心は軽くシャキッとします。新潟では、6月から9月に収穫する八つ頭の葉柄で夏ごとに漬けます。外皮だけでなく硬い筋もむき、水に浸ける間は浮かないよう小皿で押さえます。漬け汁は先に冷ましておき、ずいきはゆでたての熱いうちに入れるという温度の組み合わせで、色と食感が保たれます。ゆですぎると繊維が崩れるので、曲げても折れないうちに引き上げます。おろし生姜をのせ、冷たいまま出します。
焼き鯖を甘辛い煮汁で煮て、その煮汁をそうめんに吸わせ、鯖のうま味がしみた麺を一緒に盛ります。若狭と京都を結ぶ鯖街道で鯖が手に入りやすかった滋賀県湖北地方の郷土料理です。田植えで忙しい娘の家へ焼き鯖を届けた五月見舞いの風習や、長浜曳山まつりのごちそうにもつながっています。
香港出身の料理人、周元紀が日本で広東風のエビ料理にマヨネーズを合わせて考案した一品で、今では中華料理店や居酒屋はもちろん、コンビニ弁当にも入っています。卵と片栗粉の薄い衣で揚げたエビを、マヨネーズにコンデンスミルクとレモン汁を混ぜた甘めのソースに手早くからめます。
米麹とご飯が寒い場所でゆっくり発酵し、ほのかな甘酸っぱさが塩マスと大根、にんじんへ移ります。岐阜の飛騨や中濃、特に下呂周辺で、正月に向けて12月に漬け始めてきた発酵ずしです。容器に詰めてから14〜20日、温度変化の少ない寒い場所で寝かせ、進み方は気温と材料で変わります。
青森の南部地方の生菓子で、つぶした青大豆をうるち米粉、もち米粉とひとまとめにし、かまぼこのような長い形にして1cm厚さに切ります。豆は小さなかけらを残してつぶすので、ほろっとした切り口に豆粒がのぞき、切ったものは乾いたフライパンで焼いて食べることもあります。
炊きたてのご飯を粒が半分ほど残るまでつぶし、串に巻いて焼いたきりたんぽが、鶏のだしを吸ってもちのような食感に変わります。秋田の郷土鍋で、本来は杉の串に巻いて炭火で焼きますが、このレシピでは油をひかないフライパンで焼き色をつけます。
細かく刻んだわさびの茎と根を甘い酒粕に混ぜて数日なじませると、発酵した香りの奥から鼻に抜ける辛みが立ってきます。1889年の静岡駅開業後に駅の構内で売られて土産の定番になり、今も温かいご飯や酒の肴に少しずつ添えます。
揚げた細麺に、豚肉とえび、いか、野菜を炒めて片栗粉でとろみをつけた熱いあんをかけます。1899年に四海楼の陳平順が汁なしのちゃんぽんとして作ったのが始まりで、長崎では元の太麺と、今広く食べられている細いパリパリ麺を区別しています。このレシピは市販の揚げ麺を使う細麺のほうです。かまぼこともやし、しいたけはほかの具に火が通ってから加え、もやしのシャキッとした感じを残します。あんがしみた所はしんなりし、残りはパリッとしたまま口に入ります。
作った当日より、翌日に温め直して食べる煮物です。一晩おくうちに棒だらから出たゼラチン質がえびいもを包み、芋がねっとりとつややかになるからです。えびいもは身が締まり、表面に縞のある京都の里芋で、棒だらは昔から北海道から運ばれてきた干物を、先に番茶で下煮してにおいと残った塩気をやわらげます。京都では秋冬に作り、正月料理にも出します。
滋賀県のおあえ団子は、平たくゆでた米粉団子をこんにゃく、しいたけ、にんじん、小松菜と一緒に豆腐とごまの白和え衣で包みます。団子も野菜も冷ましてから和えるため、温かい料理ではなく常温のおかずとして出します。
ゆでた白玉団子を串に刺し、油を引かないフライパンで転がして薄い焼き色をつけ、醤油と砂糖にコーンスターチを溶いて煮たたれをつやよく絡めます。甘さと塩気がひと口で同時に来て、焼き目の内側はもちっと弾力があります。団子は冷めると硬くなるので、たれは出す直前に塗り、温かいうちに出します。
骨付きの鯉の筒切りを頭ごと三時間近く煮て、身は箸でほぐれるほどやわらかく、汁は味噌と鯉の脂でとろりとします。長野県佐久の鯉こくは、味噌を三回に分けて加えます。最初は砂糖と一緒に入れて身に味を含ませ、途中でご飯とすり合わせた味噌で汁にとろみをつけ、最後の味噌で香りを残します。
日光と風で一日干した薄い輪切りの大根がゆず皮を包んで小さな巻物になり、甘酢の中でゆずの香りを液全体に広げます。雨の少ない群馬の冬はこんにゃくや柿、大根を干す文化を育て、ゆず巻きもその流れから生まれました。お正月には紅白なますの代わりにおせちへ詰められる、冬の祝い膳の一品です。ゆずは色のついた表皮だけを薄くむき、苦みの出る白いわたは取り除きます。干した大根は折っても割れないしなやかさになり、巻きやすいうえに噛みごたえを残したまま甘酢を吸います。
ウニの半量を生クリームに溶かし込むとソース全体に磯の香りが広がり、塩の代わりににんにくと炒めた明太子が塩気とうま味を補います。上にのせる残りのウニはソースに溶けたウニとは違うなめらかな生の食感で、一皿で同じ食材の二つの表情を味わえます。
切ると、琥珀色の寒天の中に溶き卵の細い筋が流れるように浮かびます。醤油と砂糖で味をつけた石川の祝い料理で、つるりとした見た目からべろべろとも呼ばれ、金沢や能登では正月の重箱の一の重に数の子や紅白かまぼこと並べて詰めます。卵も砂糖も貴重だった江戸時代の料理書にある卵寒天が始まりと伝わります。
丸麦がぷちぷちと残り、とろりとほどけた米が金時豆とじゃがいも、さつまいも、里芋を包みます。田んぼが作りにくく、米は祝いの日だけで普段は麦が食事を支えた山梨の山村の料理です。鍋の中では味を付けず、ねぎ、みそ、花かつおに砂糖を少し合わせたねぎ味噌を各自で溶いて食べます。
おちょこ型で蒸した透明な皮の向こうに、丸いあんが透けて見えます。豊かな地下水で野菜や果物を冷やしていた岐阜県大垣で、明治時代に夏の冷菓として生まれたといわれます。葛粉だけだと水に溶けやすく冷やすと硬くなりやすいため、水に強く弾力を足すわらび粉を合わせます。昔は井戸水で冷やしましたが、家庭では飲用水で作った氷水に型を半分だけ浸して冷まします。
会津では客をもてなすときにこづゆを出し、婚礼の席では何度おかわりしてもよい料理とされてきました。汁は干し貝柱の戻し汁とかつおだしを合わせて作ります。貝柱ときのこは冷蔵庫で8時間かけて戻し、準備は前日から始まります。
細く切った干し柚子皮を、砂糖、濃口醤油、みりん、だしで半透明になるまで煮詰めます。皮から出るペクチンで煮汁がとろりとまとまり、醤油の甘辛さの中に柚子の香りとほろ苦さが残ります。丸ごとの柚子に味噌やもち米を詰める地方のゆべしとは別物で、徳島のこの形は刻んだ皮を佃煮のように仕上げる保存食です。唐辛子を加えると、後口に一瞬温かい辛みが来ます。
別鍋で煮たあさりの汁を鶏ガラスープに合わせ、塩だけで味を決めたスープは、醤油や味噌のラーメンより色が淡く、すっきりしています。函館で生まれた塩ラーメンで、たれに隠れる要素がない分、鶏と貝のうま味がそのまま表に出ます。具は薄切りのチャーシューとゆでたほうれん草だけの簡素な盛り付けです。
縦に切ると、緑のすり身の輪の内側に赤く染めた白身と黄身が重なって現れ、この断面が孔雀の羽に見えることから孔雀(くじゃく)と呼ばれます。大分県佐伯市蒲江では、正月や祝いの席に出します。えそやぐちなどの白身魚をすりつぶして塩、砂糖、卵白と練ったすり身で、ゆで卵を包んで揚げます。
焼き鮭と刻みのりをのせたご飯に、食べる直前に熱い緑茶を注ぎます。食べ進めるうちに鮭と醤油がお茶に溶け出して汁が濃くなり、脇に置いたわさびを少しずつ溶くたびに辛さも変わります。緑茶の代わりにだしをかけたり、鮭の代わりに梅干しや明太子をのせたりもします。
もち生地は蒸し器ではなく電子レンジで数回に分けて加熱し、つやが出て長く伸びるようになったらあんを一つずつ包みます。片栗粉をたっぷり広げた台の上で作業するので、べたつく生地が手につきにくく、仕上がりの表面もさらりとします。加熱したての生地は熱すぎて破れやすいため、手で触れる程度まで冷ましてから使います。