バインベオ(フエ風蒸し米餅エビ・ネギ油のせ)
小さな器に米粉とタピオカでんぷんの生地を流して蒸すと、縁が半透明で中心が白く固まった柔らかな餅になります。ベトナム中部フエの軽食で、上にのせるエビは油をひかずに水分がなくなるまで炒ると、餅の上で湿らずぽろぽろとほどけます。
小さな器に米粉とタピオカでんぷんの生地を流して蒸すと、縁が半透明で中心が白く固まった柔らかな餅になります。ベトナム中部フエの軽食で、上にのせるエビは油をひかずに水分がなくなるまで炒ると、餅の上で湿らずぽろぽろとほどけます。
ベトナムでは朝ごはんや体調を崩したときに食べる粥で、韓国の鶏粥とよく似た立ち位置にあります。薄切りの生姜を煮出したスープがほんのりぴりっとして、味つけは醤油ではなくナンプラーです。
カレーといってもソースはなく、ひき肉にスパイスペーストをまとわせて、ぽろぽろにほぐれるまで炒めます。南部専用のペーストではなく市販のタイ・レッドカレーペーストを使う簡易版なので、ターメリックやこしょうの入る本来の味とは香りも辛さも違います。鍋底に汁気がなくなれば十分で、スナックのようにカリカリに乾かすわけではありません。細く刻んだこぶみかんの葉が、強いスパイスの中に柑橘の香りを添えます。
こしょうに似た香りと薬草の香りを持つラーロットの葉で牛ひき肉を巻いて焼くと、葉の縁は香ばしく焦げ、肉の脂が葉にしみ込みます。噛む用途のキンマの葉とは別物で、買うときはラーロットまたはワイルドベテルと表示されたものを使います。
ナンプラーとにんにくに漬けた牛すね肉を、レモングラスとトマトペーストで1〜2時間煮ると、肉は繊維に沿ってほぐれ、汁は赤みを帯びて少しとろみがつきます。フランス式の長時間煮込みとベトナムの香味が出会ったサイゴン南部の料理とされ、ホーチミンの屋台では朝早くから売られています。ご飯に汁ごとかけることも、バゲットを浸すこともあります。
半分に切った玉ねぎと生姜を油をひかないフライパンで表面が黒く焦げるまで焼くと、生の辛みが抜け、澄んだスープにキャラメルのような甘い香りが移ります。薄切りの牛バラ肉は生のまま器に入れ、煮立ったスープを注いだ熱だけで火を通すため、やわらかくしっとり仕上がります。その短い熱で中まで火を通すには、肉は薄いほど向いています。脂ののった牛バラのコクがナンプラーで調えたスープに溶け込み、本場のフォーより厚みのある味になります。もやし、パクチー、ライムを添えて香りと酸味は各自で加減し、パクチーは食べる直前にのせて香りを生かします。
細く裂いた鶏むね肉と2mm以下の薄切りキャベツを、魚醤(ヌクマム)、ライム汁、砂糖の甘酸っぱいたれで和えます。キャベツの太い芯はサラダの中で硬く残るため、切る前に取り除きます。魚醤の塩気とライムの酸味が淡白な鶏肉を引き立て、生のキャベツとにんじんがシャキシャキ感を受け持ちます。熱いうちに裂くと肉汁が抜けてぱさつくため、ゆでた鶏肉は完全に冷ましてから繊維に沿ってほぐします。仕上げにのせるパクチーと炒りピーナッツが、香りとカリッとした食感を加えます。
沸いた湯の上に張った布に米粉の生地を紙のように薄くのばして蒸し、半透明になった皮で豚ひき肉と刻んだきくらげの具を巻きます。ハノイのこの皮は小麦粉の皮よりずっと薄く柔らかいため、箸で持ち上げるときや巻くときに引っ張るとすぐに破れます。
コムタムはベトナム語で、精米の途中で割れた砕け米のことです。売り物にならず捨てられていた米が、ホーチミン市の朝を代表するご飯になりました。粒が小さく、肉のたれをよく吸います。ここでは骨付きのスペアリブを炭火で焼く代わりに、薄切りの豚肩ロースをレモングラスのたれに漬けてフライパンで焼きます。
ココナッツミルクとパームシュガー入りのたれに漬けた豚肩肉は、焼くと表面が甘くカラメル化し、縁が濃い茶色になります。薄切りの肉を串に三つ折りで刺し、肉の間に少しすき間を残すと、折り重なった内側まで早く火が通ります。
タイ語で「味の薄いスープ」という名の通り刺激のないやさしい汁物ですが、ナンプラーで味をつけるので物足りなさはありません。ソムタムやトムヤムのような辛い料理と一緒に食卓に並び、口を休める役目を担います。豚ひき肉の団子は白こしょうだけで練るので肉の味がそのまま出て、絹ごし豆腐と白菜、春雨がやわらかい具になります。
米麺はゆでたらすぐ冷水でもみ洗いしてでんぷんを落とし、ざるに広げて水気を切ります。牛肉は繊維を断つように薄く切り、強火でしっかり熱したフライパンに一層ずつ分けて広げると水分が出にくくなります。縁が茶色くなり赤い生の面が見えなくなったら、すぐに取り出して焼きすぎを防ぎます。器にはレタスと冷たい麺を先に盛って肉の熱でレタスがしんなりしないようにし、ライムとナンプラーのたれは食べる直前にかけて麺がのびないようにします。
薄切りの蓮の茎はシャキシャキと歯切れよく、縦半分に割ったエビは広がった断面にフィッシュソースのたれを吸い込みます。最初に酢水へ浸けるのは茎の渋みを抜くためで、この下処理を省くとたれでは隠せない後味が残ります。ただし10分を大きく超えると、茎本来の香りまで抜けてしまいます。塩気と甘酸っぱさが同時に立ち、そこにパクチーの香りが重なるベトナムの和え物です。和えてから5分以上置くと、たれがにんじんやエビの中までなじみ、味が落ち着きます。
小さなカップ形の米粉パンケーキは、縁がカリッと固まり、中央はカスタードのように柔らかく仕上がります。米粉の生地にココナッツミルクを混ぜるため穏やかなコクがあり、生地が固まる前にエビと小ねぎをのせて一緒に焼きます。ベトナム南部の海沿いの町ブンタウ発祥で、レタスやハーブで包み、ナンプラーと砂糖のたれにつけます。
ゆで鶏をのせる通常のカオマンガイとは違い、魚醤と醤油で下味をつけた鶏もも肉に薄く粉をまぶし、皮目から濃い金色に揚げてのせます。にんにくと生姜を入れて炊いたご飯は白飯より香りが強く、揚げ物の油っぽさを受け止めます。粉が厚いと油の中で衣がはがれるので、余分ははたいて薄く残します。
白身魚をココナッツミルク、卵白、レッドカレーペーストと一緒になめらかにすりつぶし、バナナの葉に細長く薄くのせて包み、両面を焼きます。葉の縁が焦げる間に中のすり身は固めのカスタードのように固まり、ほのかな燻香が移ります。マレーシアやシンガポールではご飯に添えたり、おやつにしたりします。
雨の日になるとフィリピンの家庭でよく作られ、スープはご飯にかけて食べます。酸味のもとはタマリンドペーストで、物足りなければ大さじ1杯足して溶かします。大きめに切って入れたトマトと玉ねぎは、30分煮るあいだにスープに溶けていきます。
ハノイの旧市街では昼どきになると路地で炭火の豚肉を焼き、焼いた肉を甘酸っぱいナンプラーのタレにつけて、米麺とハーブと一緒に食べます。タレはつけだれというより薄いスープに近く、肉を取りながら少しずつ飲みます。ここでは豚ひき肉のパティと豚肩ロースを一緒に焼き、タレに薄切りのにんじんを浸しておきます。
鶏ひき肉をライム汁とナンプラーで和え、エシャロットとミントをたっぷり合わせる食べ方は、タイ東北部のイサーン地方から来ています。炒った米粉が肉汁を吸いながら香ばしさとかすかな歯ざわりを加え、ほかのサラダにはない個性になっています。温かいうちか常温で、レタスやキャベツに包み、もち米と一緒に食べます。
マニラから南東ルソンのビコール地方へ走っていた列車の名を取った、フィリピンの豚肉の煮込みです。ビコールはココナッツと唐辛子をどこよりも惜しみなく使う土地です。豚バラ肉をココナッツミルクとエビペースト、唐辛子で煮詰めると、ココナッツの油が分離して肉がその油で炒められるように火が通り、最後は汁気がほとんどなくクリーミーなたれが肉にまとわりつきます。
味付けはナンプラーとオイスターソースだけで、醤油で炒めたご飯とは違う、魚介の塩気とうま味が出ます。具はえびと卵、玉ねぎくらいで、タイではえびの代わりに鶏肉や蟹を入れたり、卵だけで炒めたりもします。
ジャカルタの牛肉スープを、内臓や多くの具を使わず、牛バラ肉と香辛料だけでまとめています。白い色は最後に加えるココナッツミルクによるもので、その前にだしが白濁するのを待つ必要はありません。時間がかかるのは牛肉のほうで、表面に火が通って見えても、フォークが中心まですっと入るまで煮込みます。ご飯は別に添えます。
トマトが溶けて赤く酸味のあるスープに、カニと豚ひき肉のふんわりした団子が浮かびます。ベトナム北部では田ガニを殻ごとすりつぶして濾した汁を固めますが、このレシピはカニの身に豚ひき肉と卵を混ぜて練ります。団子はスープが静かに揺れる程度の火加減で落とし、形が固まるまで混ぜないと崩れません。
炒り米粉を加えたとたん、ただの鶏ひき肉の和え物がラーブに変わります。乾いたフライパンで色づくまで炒って粗く砕いた米が、香ばしく少し焦げたような穀物の香りをまとわせます。タイ東北部イサーン地方の料理で、ナンプラーとライムでしっかり味をつけ、レタスにのせて包んで食べます。鶏肉は油ではなく少量の水で中弱火にかけるため、そぼろのように乾かずしっとり仕上がります。