鹿児島の豚汁
鹿児島の豚汁には、甘くやわらかな麦味噌を使います。豚肉、大根、里芋、こんにゃく、厚揚げが汁と同じくらいたっぷり入って椀をほとんど埋め、上に小ねぎと細い針しょうがをのせます。
鹿児島の豚汁には、甘くやわらかな麦味噌を使います。豚肉、大根、里芋、こんにゃく、厚揚げが汁と同じくらいたっぷり入って椀をほとんど埋め、上に小ねぎと細い針しょうがをのせます。
殻ごと蒸したアワビは、ほとんど味付けをしないので磯の香りがそのまま残ります。厚い側に入れる浅い格子の切り込みは、中心まで熱を均一に通し、縁だけが固くなるのを防ぎます。
大根の塊を澄んだ塩水に沈めて発酵させると、汁にすっきりした酸味とほのかな炭酸感が生まれ、梨の甘みと生姜の後味が重なります。大根を4〜5cmと大きめに切るのは、熟成後も柔らかくなりすぎないようにするためです。具材が汁にすっかり沈んでいれば雑菌が増えにくく、常温で小さな泡が見えたら冷蔵庫に移します。冬は冷麺のスープに使ったり、脂の多い肉料理の横に汁ごと添えたりします。よく漬かった汁はこして使うとすっきりし、冷蔵で2〜3週間のうちに使い切ります。
土手焼きの名は、鍋の内側の縁にみそを土手のように塗り、中央の煮汁に少しずつ溶かしながら煮る様子から来ています。大阪の料理で、牛すじとこんにゃくを甘めの田舎みそで長く煮込み、すじがとろりとほどける頃には、たれがへらに厚く絡むほど濃くなります。
ケンポナシの実は小さくごつごつしていて、生のままでは渋く、味もそっけないものです。大棗、生姜、シナモンスティックと弱火で25分煮出すと湯が濃い茶色になり、香ばしくほんのり甘い香りが移ります。火を止めたらふたをして5分置き、それからこします。
秋のコノシロは脂がのっているので、醤油と唐辛子粉のたれで煮るように蒸しても身がぱさつきません。背に深く入れた3か所の切り込みから厚い身までたれが入り、長く煮なくても味がつきます。厚めの大根を鍋底にすき間なく敷くと魚が焦げず、大根自体もたれを吸って甘く煮上がります。大根は厚く切るほど甘みが引き立ちます。身がもろく返すと崩れるため、スプーンで煮汁をかけながら火を通します。残った煮汁はご飯にかけると最後の一口まで楽しめます。
桔梗の根(トラジ)の苦みは、塩で力強くもんで粘りのある泡を出すことで和らぎます。手で細く裂くほど早く味がしみますが、細かく崩すと噛む楽しさがなくなります。生姜は漬け液に10分浸して香りだけを移し、取り出します。2日冷やせば食べられ、常温保存用の漬物ではないので冷蔵のまま保管します。
切ると、琥珀色の寒天の中に溶き卵の細い筋が流れるように浮かびます。醤油と砂糖で味をつけた石川の祝い料理で、つるりとした見た目からべろべろとも呼ばれ、金沢や能登では正月の重箱の一の重に数の子や紅白かまぼこと並べて詰めます。卵も砂糖も貴重だった江戸時代の料理書にある卵寒天が始まりと伝わります。
玄米は洗わずにから炒りすると、ぬかの層から香ばしい香りが強く立ちます。弱火で8分ほど混ぜながら炒り、薄い茶色の段階で止めます。濃い茶色まで炒ると苦みが出ます。
イシモチは身のきめが細かく、箸でほぐすと筋目に沿ってきれいに分かれ、側面の切り込みから醤油だれが中までしみ込みます。身が崩れやすいため蒸している間は動かさず、蒸し器の底に残った汁は魚にかけ直してご飯と一緒にいただきます。
若い白菜(オルガリ)は普通の白菜より葉が薄く茎がやわらかいので、ヤンニョムがすぐなじみ、翌日にはほどよい酸味が出てきます。そのぶん塩漬けは20〜30分で十分で、長く置くと茎がかたくなります。時間より茎の様子のほうが確かで、途中で一度返し、茎が少ししなったところで止めます。アミの塩辛と魚醤が短い発酵でもうま味を補い、もち米糊がヤンニョムを葉にまんべんなく留めます。古漬けのキムチに飽きた春先に、軽く漬けて食べる季節のキムチです。
エイは皮と軟骨にコラーゲンが多く、甘辛く炊いた煮汁を冷やすだけでゼラチンなしにぷるんと固まります。奈良県葛城では、このエイを生姜、酒、みりん、砂糖、醤油で炊き、煮汁ごと冷やして煮こごりにします。海のない奈良にも、大阪に揚がった魚介が竹内街道を通って早く届きました。
薄切りの水参(生の高麗人参)を、大棗、生姜と一緒にごく弱い火で20分近く煮出します。生姜は人参の香りをやわらげるために入れるもので省かず、香りが強すぎると感じたら、できあがったお茶に熱い湯を少し足します。
醤油の煮汁で1時間30分かけてゆっくり煮た豚足は、皮がつやよくもっちりとし、身は箸がすっと通るほどやわらかくなります。玉ねぎやにんにく、生姜、粒こしょうを入れた煮汁が、醤油の味を皮と身の間までしみ込ませます。煮汁は漉して煮詰め、切った豚足にかけるたれとして使い切ります。サンチュに包み、アミの塩辛やサムジャンを添えて食べます。
スイスチャードは太い茎と柔らかい葉で塩の回り方が違うため、茎を先に塩水へ入れ、葉は後から加えます。同時に漬けると葉だけが先にくたっとなります。茎が太くみずみずしい株ほど、塩漬けの後もシャキッとした歯ごたえが長持ちします。もち米のりに梅シロップを合わせたヤンニョムは甘みが穏やかで、常温で半日置いてから冷蔵すると味がなじみます。
酢飯の代わりにから煎りしたおからを使う、山口県北浦地方のすしです。塩と酢で身を締めたいわしで、酢と砂糖で味をつけ、生姜や麻の実、黒ごまを混ぜたおからを小さく丸めて包みます。米作りが難しい沿岸の集落で大豆の搾りかすを生かした工夫で、正月や婚礼、祭りの日に作られてきました。ほろりとした香ばしいおからに、脂ののったいわしと甘酸っぱい後味が重なります。
ナタマメは普通の豆の3〜4倍ほどの大きさで、炒ったものを使うとずっしりした穀物の香りが出ます。一度煮た豆は、もう一度煮出して使えます。
牛テールの関節からコラーゲンが長い煮込みの間に溶け出し、煮汁はとろりとつやよく煮詰まり、身は骨から力なく外れます。最初は醤油を入れず、長ねぎと生姜だけで90分ゆでるのは、身を十分やわらかくしてから味をのせるためです。大根とにんじんは後から加え、甘みを足しながら煮汁を吸います。冷えると煮汁がゼリー状に固まり、温め直すと元に戻ります。冷えて表面に固まった脂を取り除くと、すっきりした味になります。韓国では祝日の膳に並ぶ蒸し煮です。
皮の厚い青唐辛子は塩漬けと短い発酵を経てもシャキッとしたままで、種のまわりに集まった辛さがかじった瞬間にはじけます。種は半分ほど払うだけにして辛さを残し、張りのある2〜3日のうちに食べ切ります。
細かくすったいわしに、すりおろした山芋と卵が入るので、揚げると中がふんわりふくらみます。富山ではそのままおかずや酒の肴にするほか、おでんや鍋に入れることもあります。
済湖湯(チェホタン)は、朝鮮時代に内医院が夏の暑さしのぎに王へ献上したと伝わる飲み物です。シナモン、生姜、甘草を煮出した湯に梅シロップと蜂蜜を合わせて冷やすと、甘酸っぱさの後から生薬の香りが静かに続きます。梅シロップは甘さがまちまちなので、水と蜂蜜は味を見て加減します。
丸ごと蒸したワタリガニは、ゆでたものより甘い汁が殻の中に残り、身をほぐすと塩気のある汁が一緒についてきます。春と秋の旬のカニは卵とみそが詰まっていて、身以外にも食べるところが多くなります。醤油に酢を合わせた酢醤油の酸味が、カニの甘みをくっきり引き立てます。脚の関節ごとに手で殻を割り、身を取り出しながら食べる料理です。
かたい外皮をむいたさつまいもの茎は、2分だけ茹でると色が鮮やかになり、ヤンニョムをまとってもシャキッと噛めます。茹でたらすぐ冷水に移して熱を完全に抜くと、その色と張りが保たれます。もち米糊を先にほかの調味料に溶いておくと、薄い膜のように茎の繊維の間へ広がります。玉ねぎとわけぎが甘みと香りを添えます。茎は細く折れやすいので、押さえつけず指先でそっと和え、容器に詰めるときも軽く押さえる程度にします。
大きめの角切りにしたなすは、切り口に焼き色をつけてからココナッツミルクのカレーソースに入れます。生のまま入れると油と煮汁をすぐに吸ってくたくたになりますが、先に焼いておけば煮たあとも角が立ち、焼いた面から香ばしさが出ます。