キスミョン(鶏スープ卵とじ麺)
細く流し入れた溶き卵が、澄んだ鶏スープの上で絹糸のようにふわりと広がります。一度に入れると大きな塊になってしまうため、煮立ったスープに少しずつ回し入れる手つきがこの麺の見た目を決めます。鶏むね肉は繊維に沿って細く裂くと麺と一緒に箸に絡み、味つけは醤油とこしょう程度にとどめてあっさり仕上げます。
細く流し入れた溶き卵が、澄んだ鶏スープの上で絹糸のようにふわりと広がります。一度に入れると大きな塊になってしまうため、煮立ったスープに少しずつ回し入れる手つきがこの麺の見た目を決めます。鶏むね肉は繊維に沿って細く裂くと麺と一緒に箸に絡み、味つけは醤油とこしょう程度にとどめてあっさり仕上げます。
縁が濃いきつね色になるまで焼くと、カリフラワーに香ばしさとほのかな甘みが生まれ、重く濃いタヒニにも負けなくなります。レモン汁とにんにくがソースを軽くし、たっぷりのパセリが油の重さを切ります。
マニラから南東ルソンのビコール地方へ走っていた列車の名を取った、フィリピンの豚肉の煮込みです。ビコールはココナッツと唐辛子をどこよりも惜しみなく使う土地です。豚バラ肉をココナッツミルクとエビペースト、唐辛子で煮詰めると、ココナッツの油が分離して肉がその油で炒められるように火が通り、最後は汁気がほとんどなくクリーミーなたれが肉にまとわりつきます。
大邱の中華ビビンバは、豚肉とイカ、エビ、キャベツを強火で汁気が残らないように炒めてご飯にのせ、黄身の流れる目玉焼きをかぶせます。強火にしたら手を止める間がないため、粉唐辛子とオイスターソース、醤油、にんにくは先に量っておきます。
細切りの昆布が主役で、豚三枚肉は60gだけですが、そのゆで汁がだしになります。こんにゃく、かまぼこ、揚げ豆腐も入り、ひと口ごとに歯ざわりが違います。煮汁はほぼ煮詰めてつやのあるたれだけを具に残し、汁物というよりおかずに近い仕上がりです。
正月のさつまいもと栗の甘露煮で作るきんとんとは名前が同じだけで、岐阜・中津川の栗きんとんは栗の実だけを砂糖と練り、ほっくりした口当たりと栗の香りを生かします。ゆで栗は冷めると殻の内側に張り付くため、数個ずつ湯から出して熱いうちに中身をかき出します。練り上げた生地はぬれ布巾で一つずつ絞り、上にひだを寄せて小さな栗の形にします。
山形県米沢の遠山かぶは、普通のかぶより硬く、甘みが強いかぶです。包丁で切らずに刃元の角で削り取るように割ると、でこぼこした面ができ、酒粕を溶いた汁がそこにしみ込みます。それでも芯まで味が入るのは、一晩冷まして翌日温め直したときです。
細かく刻んだわさびの茎と根を甘い酒粕に混ぜて数日なじませると、発酵した香りの奥から鼻に抜ける辛みが立ってきます。1889年の静岡駅開業後に駅の構内で売られて土産の定番になり、今も温かいご飯や酒の肴に少しずつ添えます。
中国広西チワン族自治区、桂林の米粉は、細い麺が澄んだ牛バラのスープを吸いながら、つるりとなめらかに喉を通ります。酸味のあるシャキシャキの漬け大根が牛肉の味の合間に口をさっぱりさせ、最後に回しかけるラー油がゆっくり辛みを広げます。
煮物とは違い、皮ごとオーブンで焼いたかぼちゃは、縁にカラメルのような香りが立ち、中は栗のようにほくほくになります。秋の旬のかぼちゃなら、この甘みがいちばん強く出ます。白味噌を米酢とメープルシロップでのばしたドレッシングは、塩気と甘さ、酸味が一度に来て、かぼちゃの甘みをはっきりさせます。味噌の塩気が強いときは、ドレッシングを一度にかけず、味を見ながら分けて加えます。下に敷いたルッコラのほろ苦さが、全体が甘いほうへ傾くのを抑えます。ひよこ豆とくるみが噛みごたえと食べごたえを足すため、野菜だけの主菜としても成り立ちます。
この鍋には水もだしも入りません。日本酒と野菜から出る水分だけで鶏肉、砂肝、豚肉、野菜を煮るもので、広島県東広島市西条の蔵人が酒造りの合間に食べていたのが始まりです。汁気が少ないので素材の味がはっきりし、味付けは各自が塩とこしょうで行います。具材を半量ずつ二回に分けて作るため、二回目の白菜やにらもくたっとしません。
里芋や黒ごま、海苔を練り込んだ餅を薄く切って長く干し、低めの油で揚げると一枚ずつふくらんで軽い揚げ菓子になります。普通の餅より長くつき、米粒が見えないほどなめらかにしておくと、薄く切っても縁が欠けにくくなります。揚げる前に一枚折ってみて、中心に湿った層が残っていないかを見ます。カビの点やかび臭さのある一枚は、隣り合った分まで捨てます。乾燥には数週間かかり、その間置いておく涼しく風通しのよい場所が先に必要です。
ケチャップ、チリソース、砂糖が土台で、辛さより甘酸っぱさが先に立ちます。ソースのとろみは二段階で、まず水溶き片栗粉を少しずつ加え、最後に溶き卵を鍋肌から流してやわらかな筋を作ります。パンかご飯を添えて出します。
すりおろした夕顔(ラウキ)をギーで炒め、牛乳を注いで煮詰め、砂糖とカルダモンを加えてへらの跡が残るジャムのような固さに仕上げます。夕顔は柔らかい種の部分を取り除いて硬い白い果肉だけをすりおろし、牛乳を入れる前によく炒めて水分を飛ばしておきます。
こしあん入りのもち団子が醤油味の澄まし汁に2個ずつ浮かび、甘いものとしょっぱいものを一椀で一緒に口にします。小さな卵の形に丸めることから鶏卵(けいらん)の名が付き、青森県下北地方では秋の収穫や祝いの日に作られてきました。
日光と風で一日干した薄い輪切りの大根がゆず皮を包んで小さな巻物になり、甘酢の中でゆずの香りを液全体に広げます。雨の少ない群馬の冬はこんにゃくや柿、大根を干す文化を育て、ゆず巻きもその流れから生まれました。お正月には紅白なますの代わりにおせちへ詰められる、冬の祝い膳の一品です。ゆずは色のついた表皮だけを薄くむき、苦みの出る白いわたは取り除きます。干した大根は折っても割れないしなやかさになり、巻きやすいうえに噛みごたえを残したまま甘酢を吸います。
豚肉の代わりにいかとえびを使うので、おなじみの黒いジャージャーソースに海鮮のだしが重なります。じゃがいも、玉ねぎ、ズッキーニがソースの中でやわらかくなって甘みととろみを足し、水溶き片栗粉でつややかに麺へ絡む濃度に整えます。
なめらかにつぶした豆腐にすりごまと砂糖を混ぜた白い衣がにんじんとこんにゃくを包み、塩気よりほのかな甘みが立ちます。野菜に温かさや水気が残ると衣がゆるむので、だしで下煮した野菜は汁をきり、完全に冷ましてから和えます。
薄切り牛肉と厚めの玉ねぎリングを、醤油と柑橘の酸味を合わせたつやのあるソースで絡め、ご飯の上にたっぷりのせます。フィリピンの平日の夕食によく並ぶ一皿で、スペインのビステクをフィリピン風に変えたものです。本来はワインや酢の代わりにカラマンシーを搾りますが、このレシピではライムを使います。玉ねぎは透き通って縁が薄く色づく程度で火を止め、シャキッとした食感を残します。
市販のカレールウひとつで、とろみもまろやかな甘みも決まります。スパイスを一から合わせるインドカレーとは違い、いつでも同じ味に仕上がることが家庭の定番になった理由です。じゃがいも、にんじん、玉ねぎを大きめに切るため、濃いソースの中でも形が残ります。
ゆでた豚肉を細かく刻んでバターで縁がカリッとするまで焼き、最後にカラマンシー果汁とマヨネーズを絡めます。肉の表面に水分が残ると焼き色が付く前に蒸れてしまい、このフィリピンの酒の肴の要であるカリカリの縁ができません。
干し柿約20個をすき間なくつないで巻いた円筒なので、薄く切ると琥珀色の果肉と白い粉の層がバラの花のように重なります。熊本の宇城や山都では福をかき集める縁起物として、年末の贈り物や正月に用います。干す間に何度も手でもんで形を整えたもみ柿を使うと、模様が細かく鮮明になります。
鍋に最初に入るのは、油大さじ8と手でくずした木綿豆腐です。豆腐がそぼろ状になったら大根、ごぼう、ぜんまい、わらび、ふきを加えてさらに炒め、そのあとでだしと薄口醤油を注ぎます。肉は使いません。
細く切った干し柚子皮を、砂糖、濃口醤油、みりん、だしで半透明になるまで煮詰めます。皮から出るペクチンで煮汁がとろりとまとまり、醤油の甘辛さの中に柚子の香りとほろ苦さが残ります。丸ごとの柚子に味噌やもち米を詰める地方のゆべしとは別物で、徳島のこの形は刻んだ皮を佃煮のように仕上げる保存食です。唐辛子を加えると、後口に一瞬温かい辛みが来ます。