しんごろう(じゅうねん味噌の焼き飯串)
しんごろうは、福島県下郷町と南会津町で食べられる焼き飯串です。炊きたての白飯を半分ほどつき、米粒とまとまりやすい粘りの両方を残して、卵大に丸めて16本の串へ付けます。福島で「じゅうねん」と呼ぶえごまは、弱火の乾いたフライパンをゆすりながら炒り、5粒から6粒がぱちぱちはじけたらすぐ火を止めます。よくすりつぶし、砂糖、味噌、酒を混ぜてじゅうねん味噌にします。飯串の両面を先に焼いて焼き色を付けてから味噌を塗り、もう一度焼いてたれに軽い焦げ目を付けます。一年中食べられますが、新米の収穫祝いに出されることが多い料理です。
カジャミグイ(カレイの焼き物)
カジャミグイは、カレイに塩を振って20分間味を染み込ませた後、フライパンや焼き網で両面をきつね色に焼き上げる、あっさりとした白身魚の焼き物です。カレイはヒラメ目の魚の中でも身が薄く水分が少ないため生臭みがほとんどなく、塩だけで素材本来のすっきりした繊細な味わいが十分に活きます。清酒を表面に振りかけて臭みをさらに取り除いた後、キッチンペーパーで完全に水気を拭き取ることで、フライパンにのせたときに皮がパリッと焼け、身が崩れません。裏返す際は幅広のフライ返しで一度に返すことが大切で、薄く繊細な身が崩れないよう何度もさわらないことが皮のパリパリ感を保つ肝心な点です。大根おろしと醤油、または辛みのある薬念醤油を添えると、大根のさっぱりした清涼感が焼き魚の淡白な味わいをより鮮明に引き立てます。
タラと大根のタン(タラと大根の澄んだ韓国魚スープ)
タラと大根のタンは、煮干し出汁に大根を先に8分間煮て甘みを十分に引き出した後、清酒に漬けて生臭さを抑えたタラの身を加え、澄んですっきりと仕上げる魚スープです。タラは脂肪が少ない白身魚なのでスープが油っぽくならずあっさりしており、大根のすっきりした甘みが魚の旨味と重なって深みを生みます。魚を入れた後は強くかき混ぜると身が崩れるため注意が必要で、春菊は火を止める直前の30秒に入れると香りが最も鮮明に立ちます。二日酔い覚ましのスープとして親しまれており、飲んだ後のすっきりした後味が胃をさっぱりさせます。 調理中は汁の味付けと具材の火通りを見ながら進め、具材に火が通ってから最後の味を整えると、塩気や甘みが偏りません。
柳川鍋
柳川鍋は、専門店で下処理して骨を抜いたどじょうとささがきごぼうを、だし、醤油、みりん、砂糖の割り下で煮て、溶き卵でとじる東京の浅い鍋料理です。どじょうを丸ごと煮る丸鍋と異なり、開いた身を使い、卵が甘辛い汁をやわらかくまとめます。生きたどじょうを家庭で処理せず、内臓と骨を除いた冷蔵品を購入し、中まで火を通してから卵を加えます。
東坡肉(トンポーロー・醤油カラメルで煮込んだとろとろ豚バラ)
豚バラ肉を醤油・紹興酒・砂糖・生姜・長ねぎと一緒にじっくり煮込んだ中国式の角煮です。バラ肉を5cm角に厚めに切り、たこ糸で縛ることで長時間の加熱中も形が崩れずに保たれます。最初に熱した油で表面を手早く焼いてメイラード反応を起こしてから煮汁に移すと、色と香りがさらに深まります。弱火で長時間煮込むと脂身の層が透明にとろけて口の中でやわらかくほどけ、赤身の部分は醤油と砂糖が深く染み込んで深い栗色になります。紹興酒が豚肉の臭みを飛ばし、生姜が後味をすっきりさせつつも、全体として甘く濃厚な風味が支配的です。中国宋代の詩人・蘇東坡の名に由来する料理で、脂のとろける柔らかさを味わうのが醍醐味です。煮上がった後に煮汁をさらに煮詰めて肉の上にかけると、艶やかな光沢が仕上がった皿を引き立てます。
松前漬
松前漬は、細切りのスルメと昆布、塩数の子を醤油、酒、みりんに漬け、昆布の粘りが全体になじむまで熟成させる道南の保存食です。松前藩で地元の海産物を使って始まったとされ、ニシン漁が盛んな時代には豊富な数の子をたっぷり使いました。数の子が高価になった現在はスルメと昆布の割合が増えましたが、冬と正月の定番であることは変わりません。約1週間の漬け込みを家庭で保守的に扱うため、市販のそのまま食べられる乾物と塩数の子を使い、調味液を沸騰後に急冷し、消毒した容器で全期間4°C以下に保ちます。
はぜ佃煮
はぜ佃煮は、海はぜを下処理して冷蔵庫で半日乾かし、味を付けずに白焼きし、さらに一晩乾燥させてから、たまりの煮汁で汁気がなくなるまで煮る愛知県三河湾沿岸の保存食です。2回の乾燥で身が締まり、長く煮ても小魚の形が崩れにくくなります。白焼きは表面の水分と魚の匂いを減らします。水、酒、みりん、たまり、砂糖を沸かし、はぜを一段に並べ、落とし蓋をして弱火でゆっくり煮ます。煮汁が少なくなったら混ぜずに鍋を傾け、焦げ付きを確認すると形を保てます。大豆の濃い旨味と甘味が入った魚を、ごはんのおかずや酒の肴として少量ずつ食べます。
クーブイリチー(昆布と豚肉の炒め煮)
クーブイリチーは、戻した昆布を油で十分に炒め、豚だしと調味料を加えて柔らかくなるまで煮含める沖縄県の炒め煮です。クーブは昆布、イリチーは乾物や根菜などを炒めてから味を含ませるように煮る料理を指します。ゆでて短冊に切った豚三枚肉とこんにゃくは、砂糖、みりん、酒、醤油で先に下味をつけ、昆布が柔らかくなる途中で煮汁ごと合わせます。煮汁がほぼなくなってから、かまぼこと揚げ豆腐を加え、こってりした甘辛い味に仕上げます。昆布と「よろこぶ」をかけて婚礼などの祝いに欠かせない料理となり、現在は県内の日常的な家庭料理としても作られています。
五平餅(くるみ味噌の焼き飯餅)
五平餅は、炊きたてのうるち米を熱いうちにつぶし、幅のある串へ小判形に付け、くるみとごまをすった赤味噌だれで香ばしく焼く愛知県の山間部の飯餅です。米粒が少し残りながら、焼いても外れない粘りが出るまでつぶします。なるべく薄く広げ、表面へ浅い波形を付け、まずたれを付けずに焼くと、芯まで温まり、たれが絡む場所も増えます。赤味噌、砂糖、酒、生姜を弱火で練った濃いたれを塗り、もう一度こんがり焼きます。中部地方の山間部では江戸時代中期にすでに食べられていたとされ、木こりや狩人が山仕事の安全を祈る「山の講」の前夜に作りました。現在は行楽先の軽食としても親しまれています。
どじょう汁
どじょう汁は、丸ごとのどじょうをごぼう、なす、里芋、油揚げ、長ねぎ、打ち込みうどんと味噌汁で煮る、香川県中讃地域と東讃の一部に伝わる夏料理です。田植え後、男性がため池や川で捕ったどじょうを大釜で炊いて近所へ振る舞い、共同作業や寄り合いの親睦料理になりました。骨ごと食べられるまで煮たどじょうと汁で直接煮るうどんが、食べ応えのある一椀になります。生の淡水魚には寄生虫や環境汚染の危険があるため、自分で捕った魚は使いません。許可販売者が食用に養殖し、専門的に泥抜き・処理した加熱用製品だけを当日調理し、生魚用具を分け、汁の中で完全加熱します。
どて焼き
どて焼きは、湯通ししてあくと臭みを除いた牛すじ肉を、だし汁、しょうが、青ねぎで柔らかくゆで、田舎みそ、砂糖、みりん、酒で濃く煮詰める大阪市の庶民料理です。鉄鍋の内側の縁にみそを土手のように盛る姿から名が付き、中央の煮汁へ少しずつ溶かしながら濃度を整えます。一口大にちぎって下ゆでしたこんにゃくも加え、二つの弾力ある食感を楽しみます。甘辛く濃厚で酒によく合うため、新世界の居酒屋や串カツ店で一年を通して親しまれ、家庭でも作られる大阪名物です。
ミョルチチョッカル(カタクチイワシのチョッカル(塩辛))
ミョルチチョッカルは、生のカタクチイワシの頭と内臓を取り除いた後、天日塩に層状に重ねてしっかりと押し込み、冷蔵庫でゆっくりと熟成させる韓国の伝統的な発酵保存食です。塩がカタクチイワシのたんぱく質を分解するにつれて、生の生臭さが消え、濃縮された旨味成分が生成され、この変化がミョルチチョッカル特有の深く複雑な風味を作り出します。仕込んでから5日目ににんにく、生姜、唐辛子粉、料理酒を混ぜ込むと、香辛料の香りが発酵の風味の上に幾重にも加わります。塩の割合はカタクチイワシの重量の20パーセント以上を維持しなければ、雑菌の繁殖を抑えながら安定した熟成が進みません。この割合を下回ると雑菌が活性化し、腐敗のリスクが高まります。完成した塩辛はキムチの味付けの旨味の土台として少量加えたり、温かいご飯の上にひとさじのせておかずとして楽しめます。テンジャンチゲやナムル和えにアミノ醤油の代わりに使うと、より深みのある発酵の香りを出すこともできます。
いかにんじん
いかにんじんは、するめいかと人参を同じくらいの長さの細切りにし、酒、醤油、ザラメを煮立てて完全に冷ました調味液へ漬ける福島県の冬のおかずです。半日ほどでいかが汁を吸ってやわらかくなり、人参は歯ごたえを保ちます。熱い調味液をかけず十分冷ましてから合わせると人参が煮えず、冷蔵でさらに数日置くと味が中までなじみます。
いもがらの炒め煮
いもがらの炒め煮は、水で戻した乾燥いもがらを、れんこん、人参、油揚げ、こんにゃくと油で炒め、甘辛い醤油味の煮汁がなくなるまで煮含める茨城県の副菜です。乾燥いもがらは通年使える保存食で、戻すと調味料をよく吸いながら独特の歯ごたえが残ります。煮る間はふたをせず、れんこんの食感を保ち、鍋底に煮汁がほとんど残らない状態まで仕上げます。日常の常備菜に加え、正月や祝い事の食卓にも並びます。
あめごのひらら焼き
あめごのひらら焼きは、焼いた川魚のあめごに、豆腐、鶏肉、こんにゃく、じゃがいも、きのこや野菜を合わせ、甘い味噌だれの上で蒸し焼きにする徳島県祖谷地域の料理です。昔は「ひらら」と呼ばれる熱した平石を鉄板として使いましたが、家庭では蓋付きホットプレートで再現できます。魚とじゃがいもに火が通り、味噌だれが薄い艶のある状態まで煮詰まれば完成です。
さんまのすり身汁
さんまのすり身汁は、岩手県三陸沿岸地域で、さんまが出回る時期に家庭で作られてきた汁物です。皮と骨を除いたさんまの身を粘りが出るまですり、味噌、卵、塩、しょうゆ、酒を混ぜて団子にします。さんまの漁獲が増えた約60年前から、塩焼きや塩炊きだけでなく、すり身を汁にする食べ方が広まりました。団子を先に15分煮て魚と調味料の味を汁へ出し、その後に大根、人参、豆腐、ねぎを順に加えます。すり鉢で十分にするほど団子がふんわり仕上がり、20gから30gにそろえると中心まで均一に火が通ります。
豚ヒレ肉のチャンジョリム(醤油煮)
豚ヒレ肉を醤油・ニンニク・生姜・清酒と一緒にじっくり煮込んで作る韓国式のチャンジョリムです。肉が完全に浸かる量の水で塊のまま茹で、浮いてきたアクをこまめに取り除いてから煮汁を清潔に保ちます。その後、繊維に沿って長く裂いてから醤油の煮汁に戻してもう一度煮詰めることで、旨味たっぷりの塩辛い常備菜に仕上がります。繊維に沿って裂くと表面積が増えて味が均一にしみ込みます。清酒が豚肉の臭みを最初から消し、丸ごとのニンニクも長く煮ることで柔らかくとろけるようになります。冷蔵保存がきき、数日間ご飯のおかずとして少しずつ取り出して食べられます。 仕上げ後は主菜のおかずとして盛り付けやすく、汁やたれがある場合はご飯にも合わせやすいです。
ミョンランチョッカル(たらこのチョッカル(塩辛))
ミョンランチョッカルは、スケトウダラの卵巣を天日塩で漬け込み、唐辛子粉・にんにく・料理酒とともに冷蔵熟成させる韓国伝統の塩辛です。新鮮なたらこの血筋と薄皮を丁寧に取り除いた後に料理酒をまず塗って生臭さを抑え、塩と唐辛子粉の混合塩漬け薬味を均等にまぶして昆布と一緒に密閉容器に入れます。3〜5日の冷蔵熟成で塩が卵の水分を引き出し、プチプチはじける食感が凝縮されるとともに、発酵が生む深い旨味が唐辛子粉のほのかな辛さと溶け合います。薄く切って温かいご飯の上にのせると、一粒一粒が口の中ではじけながら塩気のある濃い磯の香りが広がる、一切れでご飯一杯を引き受けるごはん泥棒です。
こも豆腐
こも豆腐は、湯通しした豆腐を熱いうちに崩し、食品用の稲わらで作った藁苞へ固く詰め、筒形に締めてからわらを外し、甘辛い醤油の煮汁でゆっくり煮含める茨城県の郷土料理です。崩した豆腐が再び固まる時に内部へ小さな隙間ができ、調味液が入りやすくなります。表面にはわらの筋模様とほのかな香りが残ります。肉を得にくかった時代、豆腐は大切なタンパク源でしたが日持ちしないため、村の人々がわらを持ち寄り、大鍋で一緒に作ったと伝わります。県央地域では冠婚葬祭の料理となり、煮た後に一晩置くと中心まで味が入ります。
鱈の子炒り
鱈の子炒りは、醤油、酒、みりん、砂糖を加えた煮汁で糸こんにゃくを煮立て、生の真鱈の卵を皮から絞り入れて汁気を飛ばす、秋田県日本海沿岸の冬料理です。卵は加熱されると粗い粒にほぐれて糸こんにゃくへ絡み、残った皮も切って加えると食感のアクセントになります。仕上げには白髪ねぎを散らします。秋田でこの料理に使うタラコは、一般的なスケトウダラではなく真鱈の卵を指します。冬の常備菜、ご飯のおかず、酒の肴になり、卵の多さから子宝を願う正月の縁起物として大切にされてきました。
韓国式焼き貝(にんにくバターのチョゲグイ)
盛り合わせの貝を塩水に1時間以上浸けて砂や汚れを吐き出させた後、熱いグリルやフライパンの上に殻ごと並べて焼きます。殻がゆっくりと開くのを待ってから、開いた殻の中にバターひとかけらと刻みにんにく、日本酒を入れて1〜2分さらに火を通します。貝から染み出た海水の旨味がバターと混ざり合い、余計なソースなしでも凝縮した自然なだしが殻の中にできます。貝ごとにサイズが違うため開く時間も異なるので、一つひとつ確認しながら取り出すと火の通し過ぎを防げます。最後まで開かない貝は鮮度に問題があるため必ず取り除きます。刻んだパセリを散らすことで貝特有の磯臭さが和らぎ、さわやかなハーブの香りで仕上げられます。
ひっつみ
ひっつみは、強力粉の生地を十分に休ませてのびを出し、指で薄く引きのばしてちぎり、鶏肉、ごぼう、人参、ねぎを煮ただし汁へ直接入れる青森県南部の郷土汁です。麺のようにのして切らず、引っぱってつまむ動作が名の由来と伝わります。縁を薄く、中央を少し厚くすると、一杯の中にやわらかい部分としこしこした部分が残ります。鶏肉を先に中心まで加熱し、浮いた生地も粉っぽさが消えるまで煮て、熱いうちに供します。
えびいもと棒だらの炊いたん
えびいもと棒だらの炊いたんは、緻密でねっとりした肉質を持つ京の伝統野菜えびいもと、北海道から運ばれた棒だらを一つの鍋で長く炊く京都の郷土料理です。戻した棒だらを番茶で静かに下煮し、においと残った塩気をやわらげます。えびいもは厚めに皮をむいて形を整え、塩でもんで表面のぬめりを取ります。昆布とかつお節で取っただしと酒で二つの具を煮てから、砂糖、みりん、薄口醤油の順に味を含ませます。弱火で十分に炊き、火を止めて一晩休ませることで、棒だらのゼラチン質がえびいもを包み、秋から冬や正月の食卓にふさわしい煮物になります。
セウジョッ(アミの塩辛 韓国伝統発酵エビ調味料)
セウジョッは、小エビを天日塩で均一に混ぜて消毒した瓶にしっかり詰め、冷蔵または低温で2週間以上発酵させる韓国伝統の塩辛です。塩がエビのタンパク質をゆっくりと分解する過程で生臭さが消え、その代わりに深い旨味が生まれ、キムチの薬味やチゲの核となる調味料として欠かせない存在になっています。清酒と生姜汁が発酵初期に生じる雑味を抑え、少量の唐辛子粉がほのかな辛みを加えます。水分が多いと発酵中に異臭が発生する恐れがあるため、エビをすすいだ後に水気を最大限取り除くことが安定した熟成のための最重要工程です。塩とエビの比率はエビの重量の20〜25%が適切で、多すぎると風味が粗くなり、少なすぎると腐敗のリスクが高まります。完成したセウジョッは清潔な道具だけで取り出すことで汚染なく長期保存ができ、6ヶ月以上発酵させたものはより深い旨味を持ちます。オジョッ(5月)、ユッジョッ(6月)、チュジョッ(秋)など漁獲の時期によって名前と風味が異なり、それぞれ用途も少しずつ違います。